少数与党は国民・玉木代表が望む構図

<首班指名選挙>
 首班指名選挙、すなわち政権枠組みを左右するキャスティングボートを握ったのは、28議席の国民民主党、および38議席の日本維新の会だ。特に、議席数が4倍に膨らんだ国民民主党の動向が注目された。

 国民民主党は、与党のみならず他の野党とも連立を組まない方針だ。11月11日召集の特別国会で実施される衆院の首班指名選挙では、国民民主党は1回目のみならず決選投票においても玉木代表に投票する方針を示した。

 日本維新の会も、現時点では国民民主党と同様に他党と連立を組まず、首班指名選挙で馬場代表に投票する方針だ。

 衆院で投票総数の過半数に達する者がいない場合、上位2名による決選投票で多数を得る者が首相に指名される。

 今回、衆院の決選投票に自民党の石破総裁と立憲民主党の野田代表が進出する見込みだが、国民民主党と日本維新の会の票が無効票となることで、石破氏が多数を得る見通しとなり、第二次石破政権が発足する可能性が高い。

<少数与党を国民民主党が左右>
 なぜ、国民民主党は他党との連立を明確に否定しているのであろうか。

 玉木代表のこれまでの発言を踏まえると、国民民主党は政権入りや閣僚ポストを得ることよりも、「政策本位」で党が掲げる、もしくは党として賛同できる政策を実現することを重視している。

 つまり、連立政権に入るよりも政策ごとに是々非々で少数与党と交渉する方が、党の政策をより実現できると判断したということだ。また、連立政権に入れば、賛同できない政策にも賛成せねばならない点を忌避しているようだ。

 玉木代表は、政策決定の新しい在り方を提唱している。与党が過半数を占める状態よりも、少数与党の構図の方が、是々非々により与野党間で議論を重ねて政策を推進できる点で好ましいとの考えだ。当面、国民民主党は連立政権にも野党結集にも加わるつもりがないとみてよいだろう。