失職した斎藤元彦氏が再選した兵庫県知事選は「大手メディアの敗北」という鮮烈な印象を残した。知事選後、大手メディアの代表格であったテレビの側からは「我々は放送法に縛られている」という苦々しい弁明と、選挙報道の見直し検討の声が相次いでいる。SNS空間では選挙期間中でも真偽不明の情報が飛び交う中、選挙報道におけるネットとテレビのあり方に関してどんな改革が求められるのか。自身のXに「放送法4条『政治的公平性』を撤廃する方向で、大いに議論していきたい」とポストした、日本維新の会前衆院議員の足立康史氏が提言する。
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(足立 康史:日本維新の会・前衆議院議員)
既存メディアから出始めた改革の機運
今月17日に投開票された兵庫県知事選挙では、県議会から不信任を突き付けられた斎藤元彦知事が111万3911票(得票率45.21%)を獲得し再選されるという結果となりました。
特に今回の選挙では、告示前から斎藤知事のパワハラおねだり疑惑から公益通報(怪文書)問題まで政策とは異なる様々な情報が飛び交い、前代未聞の「情報戦」の様相を呈しました。
そして、選挙が終わって一週間を経た今も、論争は収束するどころかますます拡散し、選挙報道におけるネットとテレビの役割から公職選挙法の在り方まで様々な論評が飛び交っています。
既存メディアの側から最初に口火を切ったのはNHKの稲葉延雄会長でした。
20日の定例会見で「どうすれば投票の判断材料を適切に提供していけるか公共放送として果たすべき選挙報道の在り方を真剣に検討していく必要がある」と発言。
22日には日本民間放送連盟(民放連)の遠藤龍之介会長(フジテレビ)が「必要に応じ、民放連の行動委員会の場などでも議論することが必要」と同調しました。
様々な政治現象が問題視された際に、政治学者や政治評論家、そしてテレビコメンテーターに至るまで多くの論評がなされるのは当然ですが、今回の兵庫県知事選挙のように、選挙直後から既存の大手メディアトップが議論の必要性を訴えるのは、とても珍しいことです。