苦しい石破政権の選択肢を増やす日本維新の会

 なお、このところ取り沙汰されている「部分連合(パーシャル連合)」とは、玉木代表が指摘するように定義がはっきりしない概念だ。政策ごとに是々非々で協力ということであれば、既に国民民主党は予算案に賛成するなど実践している。今後、「自公国」や「部分連合」と呼称されても、実質的には少数与党の状態と言える。

 与党は首班指名選挙こそ決選投票により過半数割れの状態でも勝利できようが、予算成立や法案可決には過半数が必要なため、常に野党に協力を求めなければならない。

 少数与党の状態は、与党が衆院で過半数を占めて参院で過半数割れとなる「ねじれ国会」よりも難しい政権運営を迫られる。内閣不信任決議案が可決されるリスクを常に抱える不安定な状態でもある。

 石破政権は国民民主党と徐々に信頼関係を構築し連立入りを図る方針のようだ。しかし、上述のように国民民主党は少数与党の構図を望んでおり、実現は難しいだろう。基本的には、予算成立や法案可決のため、石破政権は国民民主党の要求を極力考慮しなければならない。

<日本維新の会の動向も重要に>
 仮に石破政権が国民民主党と決裂するような局面が到来すれば、国会運営に窮することになる。

 ただ、与党には同じくキャスティングボートを握る日本維新の会に協力を仰ぐという選択肢もある。日本維新の会は、今回の衆院選で公明党と対立関係に転じたため、そして議席数を減らしたため、与党の協力相手として国民民主党に劣後している。

 日本維新の会の方針がどうなるか不透明だ。議席減の責任を求める動きを受けて、馬場代表が退陣する可能性が出ている。代表選を実施するか否か、11月6日に正式決定される。実施の場合の日程としては12月1日が有力視される。

 与党との協力に必ずしも否定的ではない馬場代表が続投するのか、そして代表交代の場合は他党との関係をどうするのかが注目される。

 国民民主党と同じく、日本維新の会が政策ごとの是々非々路線を採るならば、石破政権が協力を求める相手の選択肢が増えることになる。言い換えれば、国民民主党は自らの要求を強硬に主張しづらくなる。