金融緩和偏重の是正が第一
具体的には、まず、金融緩和偏重の是正が求められる。2%を超えるインフレが2年以上続いているのに、短期の政策金利は0.25%、長期金利も1%未満というのはおかしくないか。
「いやいや2%のインフレ期待がまだアンカーできていないからだ」との反論もあろうが、そうした均衡状態に到達するまでの間、金融環境をゆっくり変えていこうという姿勢自体が、金融市場の元気をなくしているのではないか。
インフレになったら金利が上がる。インフレ収まったら金利が下がる。それが本来の金融市場だ。アベノミクスの下で、そうしたマーケットの感性が鈍ったのだとしたら、元気な日本経済への道はさらに険しい。
様々な思惑が交錯しつつ未来を探るという金融市場の機能が、これから日本経済がその構造を新しい環境にフィットしたものへと変えていく上では必須だ。報道をする側も、金融市場での変動は悪ではなく、その変動こそが未来への挑戦なのだという見方を、もう少し取り戻してはどうだろうか。
財政政策は、その赤字の大きさからして、すでに狭い門になっている。
繰り返される自然災害、そして長期的に不可避な大きな地震、さらには再度の感染症の拡大あるいは安全保障上の思わぬ事案も起こるかもしれない。そうした際に、必要となる大規模な歳出を国債発行で賄えるような財政状況に常にしておくことがこれからは大事だ。
他方、経済構造の改革が進んでいる過程では、摩擦的な企業の倒産、失業の発生は不可避である。その摩擦を緩和するような財政支出は非常に重要だ。