彰子と敦康親王の仲むつまじさを警戒する道長

 道長がそう考えたのは、『源氏物語』の「藤壺の巻」がまさにそんな話だからだ(前回記事「『光る君へ』SNSでも話題、奔放さ全開の和泉式部をはじめ女房集団を取り仕切る「宮の宣旨」の“理想の上司ぶり”」を参照)。

 今回の放送では、道長がまひろ(紫式部)に「敦康様はお前の物語にかぶれすぎておられる。中宮様のお手をとって……もはや危うい。光る君のまねなどされては一大事である」と危機感をあらわにする。

 だが、まひろはあきれ果てた顔で「つまらぬことを」と一蹴。道長が「つまらぬことであろうか?」と食い下がると、まひろに「もし、そうだとしたら、どういたしましょう。この先がご心配でございますね」とからかわれてしまう。

 道長は「もうよい。何とかいたす」と言い捨てて、その場を立ち去っている。そして、敦康親王を彰子から引き離すべく、強硬手段に出る。すぐさま藤原行成にこう命じたのだ。

「敦康様のことだが、明日のご元服後は、すみやかに竹三条宮(たけさんじょうのみや)にお移しもうしあげろ」

 道長からすれば、敦康親王は自分の孫・敦成親王に皇位を継がせるに当たって、ただでさえ邪魔者だ。ドラマでは、道長に彰子との禁断の仲を心配させることで、敦康親王を排除する理由が、さらに強化されることになった。

 これから敦康親王の運命が暗転していく。そんな兆しを感じる放送回となった。