「もうこれは離婚をされても何をされてもしかたないと思いました」

河井:私がお金を差し上げたことによって、多くの方々にご迷惑をおかけしましたが、「案里さんが最大の被害者かもしれないね」と言ってくださる後援会の方々もいます。

 そういうことで、本当に言葉に尽くせぬ迷惑をかけ、妻を傷つけてしまい、今だから言いますけれど、もうこれは離婚をされても何をされてもしかたないと思いました。

 結婚式で「妻を幸せにする」と神様に誓ったのに、その反対のことをしてしまった。どういう判断をされても受け容れるしかないと思ったのですが、妻は「あなたを恨んだことは一度もない」と言うんです。あの人は計り知れない人ですよ、ホントに。

 皮肉なことに、むしろこういうことを経験した後で、結婚してから今一番仲がいいというか、幸せだという気持ちです。

 国会議員現役の時は、とにかく私は忙しかったですからね。平日は東京にいるし、しょっちゅう海外を飛び回っていました。

──奥様も政治家としてお忙しかったですからね。

河井:妻も広島県議でしたから忙しかったですね。私は週末だけ広島に帰るのですが、地元では会合や国政報告会、支持者の皆さんとの語らいで予定がびっしりでした。ですから、家で食事をすることさえままならない状態で、妻とは少しの時間しか一緒にいられなかった。

 今は、妻と東京で暮らしていますが、幸か不幸かこんなに一緒に時間を過ごせるのは結婚して初めてのことです。「本当に帰ってきてくれてよかった」と妻は毎日言ってくれます。

──「白紙のままの色紙」と題された個所では、奥様と共に、政治家としての階段を駆け上がっていた頃と、逮捕後を比較して心境の変化について書かれています。