核拡散を阻止しなければならない国連安保理常任理事国であるロシアは、ウクライナ侵攻を機に北朝鮮と包括的戦略パートナー協定を結び、軍事協力を強化している。最近ではラブロフ外相が「北朝鮮に適用される『非核化』という用語自体がすべての意味を失った。我々にとってこれは終結した問題(closed issue)」と規定し、波紋が広がった。

米国でも広がる「北の核保有容認論」

 韓国の唯一の同盟国である米国も、北朝鮮核に対する立場が変化している。2019年初めに「ハノイ米朝首脳会談」が失敗した後、ワシントンでは「北朝鮮の非核化が実質的に不可能になった」という悲観論が出始め、「北朝鮮の核保有を一部容認し、管理可能な水準で北朝鮮の核の脅威を調整すべき」という主張が増えている。

 今年の大統領選挙を控えて公開された共和党と民主党の政策綱領からは、「北朝鮮非核化」目標が消えてしまった。

 民主党は、2016年と2020年に発表された政策綱領に「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」目標を明示したが、今年は消えてしまった。共和党も前回の2度の大統領選挙の際に明らかにした政策綱領ではCVIDを明示したが、今年は朝鮮半島と北朝鮮に対する言及自体がなくなった。

 これに対し、韓国の安全保障専門家たちの多くは「米大統領が誰になっても、今後4年間、米国の政策は北朝鮮核問題の『管理』に焦点を合わせ、『非核化よりは拡張抑制強化』に重心を移していくだろう」と見ている。