増強一方の「北の核」に対抗すべく韓国でも「核保有論」

 このような状況の中で、北朝鮮は9月13日、金正恩総書記によるウラン濃縮施設視察の事実を公開した。

核兵器研究所と兵器級核物質生産基地を視察する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(写真:朝鮮中央通信=共同)
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 北朝鮮のウラン濃縮施設が公表されたのは初めてで、国際社会では7回目の核実験が迫っているとの見通しが浮上している。韓国の国家情報院は国会での口頭報告で、「(北朝鮮のウラン施設の公開の狙いは)対外的には米国の大統領選挙を控えて韓・米国を意識した行為という側面と同時に、対内的には経済状況が非常に良くないため、住民に自信を持たせるための行為と解釈される」とし、「(7回目の核実験)可能性自体を否定できない」と明らかにした。

 また北朝鮮の核能力については、「プルトニウムは70キロ余りを保有していると分析しており、高濃縮ウランは具体的な数値を話せない側面がある」としているが、国際社会では北朝鮮は現在30~50個の核弾頭を保有していると見られている。昨年8月、米ランド研究所と韓国の牙山政策研究院が発表した報告書の中には、北朝鮮は一昨年時点で180発もの核弾頭を保有しているという衝撃的な予想が示されていた。

 増大する北朝鮮の核の脅威とこれに対応する国際社会の空気の変化は、その脅威に直接的にさらされている韓国にとって耐え難いものだ。

 50基の核弾頭を保有する北朝鮮の核能力は韓国軍火力の「6万倍」に達するという専門家の分析もある。北朝鮮の核は韓国人を安全保障上に不安に陥れている。だからこそ、韓国内ではかつてないほど核保有論が高まっている。