北との交渉目標を「非核化」から「核凍結」に転換か

 9月26日(現地時間)、AP通信と行ったラファエル・グロッシー事務局長のインタビューのうち、特に韓国人の逆鱗に触れたのは以下の2カ所だ。

「2006年に北朝鮮が事実上の核兵器保有国になって以来、国際的な関与がなかったため、北朝鮮の核プログラムもかなり拡大した」

「北朝鮮と対話するには信頼を回復するために非常に慎重で外交的な準備が必要だろう。北朝鮮と話し合えるテーマとしては『核の安全』問題があるだろう」

 これは解釈次第では、北朝鮮の核保有を認め、北朝鮮との交渉の目標を「非核化」ではなく「核凍結」に設定しようという主張のように聞こえる。韓国メディアは彼の発言が2020年のインタビューで「北朝鮮の核保有は不法であり、北朝鮮を核保有国として認めない」と明らかにした立場にも反するとして強く批判した。

 韓国の反発が強まるとIAEAは27日、「ラファエル・グロッシー事務局長の発言は国連安保理決議の有効性を改めて強調しながらも対話の必要性を主張したもの」と釈明したが、国際社会ではすでに北朝鮮の非核化は不可能とみる空気が広がりつつある。