「どんな目的があるのだろう」と考えてみてはいかが?

 たとえば、製造業などの「モノ」の世界では、「なぜ」は効果を発揮します。

 それは、「因果関係」があるからです。

「ボタンを押す」と「動き出す」といった仕組みがモノにはあります。

 あるいは、自然界の法則も、同様です。

「水が氷になる」のは「氷点下になったから」です。

 こういうモノや事象の世界は、因果関係があるので、「なぜ」と「原因」を考えることは有効です。ミスやトラブル、不具合があった場合にも、「なぜ」と、原因を追求するのは重要なことといえます。

 しかし、人間は、「原因」を探したところで、みんながみんな同じ行動をとるわけではありません。だから「原因」を考えてもしかたないともいえます。

 ならば、人の言動に必要以上に「原因」を探す必要はないのです。

 それよりも、「目的」を考えたほうが建設的です。

「不機嫌になる」のは、「他人を遠ざけたい」という目的がある。

「怒る」のは、「相手を思いどおりに動かしたい」という目的がある。

「落ち込んでいる」のは、「他人に気づいてほしい」「もう少し注目してほしい」という目的がある。

「不機嫌」も「怒り」も「落ち込む」という感情も「目的」のためにつくられている。

『みんな違う。 それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』(岩井俊憲著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)より引用みんな違う。 それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』(岩井俊憲著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)より引用
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 その感情を使って、なしとげたい「目的」は何か。

 一度、職場の部下・メンバーの言動に対して、「この人は、どんな目的があるのだろう」と考えてみてはいかがでしょうか。

 原因を探すより、解決策を見つけやすくなるでしょう。