よくある目的の一つが「支配欲」

 ここまでお話ししてきたように「怒り」には「目的」があり、そして「相手役」が存在します。

 よくある目的の一つが、「部下」を「思いどおりに動かしたい」という支配欲があげられます。

 あるいは「上司」に「自分の尊厳を大きく傷つけられたくない」という防御の目的があったりもします。

 不満に思ったり、イライラしたり、カチンときたときは、それを誰かに出す前に次のように考えてみてください。

「怒りの相手役は誰で、何が目的なのか」

 これだけでも、自分の感情が整理されて、無駄に怒りに振り回されることは少なくなります。

 さらには、「目的」の底には、何の気持ちがあるのかを考えてみてください。

「部下を思いどおりに動かしたい」の底には、「私は不安に思う」「私は心配だ」などの気持ちがあったりします。

「上司に自分の尊厳を大きく傷つけられたくない」という目的の裏には、「私は悲しい」「私は失望した」などの気持ちがあったりするものです。

 この心の底にある気持ちに自分で気づくと、その後の対応が違ってきます。

 職場や仕事のことで、つい、イライラしたり、カチンときたら、「その目的の底にある本当の私の気持ちは何なのか」を考える習慣をもってみてはどうでしょうか。

 ただ、相手に怒っているだけで終わらず、自分の本当の気持ちに向き合い、気づくほうが有益で、建設的な習慣といえます。

『みんな違う。 それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』(岩井俊憲著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)みんな違う。 それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』(岩井俊憲著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)