6.弱いロシアの弾道ミサイル防空能力

 ウクライナはミサイル攻撃を受けても、パトリオットミサイルが配備されていればほとんど撃墜することができた。

 無人機の攻撃には、射撃統制装置付きの機関砲(例、ゲパルト戦車)が配備されていれば100%近く撃墜できた。

 一方、ロシアは、「S-300/400」で弾道ミサイルを撃墜できると発表していた。現実は、ほとんど撃墜できていないのが現状である。

 よって、ウクライナが供与された弾道ミサイル等でロシア領内(国境等から300キロ以内)の弾道ミサイルを攻撃すれば、ほとんど撃破できることになる。

7.ATACMSに狙われれば、逃げられない

 ロシアは英国製の巡航ミサイルも米国製のATACMSもほとんど撃墜できていない。

 だから、「どちらを使って攻撃しても同じではないか」というとそうでもない。

 ストーム・シャドウ巡航ミサイルの速度は、時速1000キロ前後であり、300キロを飛翔するのに約18分かかる。

 ATACMS弾道ミサイルの速度はマッハ3で、1分間に60キロ飛翔し、300キロ先の目標に5分で到達することができる。

 それぞれのミサイルが発射されて約1分後にレーダーで捕捉し、連絡を受けたとすれば、巡航ミサイルの場合は今の位置から逃げるのに約17分の時間がある。

 それに比べ、弾道ミサイルの場合はわずか4分しかない。

 その飛翔速度の違いにより、ストーム・シャドウ巡航ミサイルは固定目標を攻撃するのに最適ではあるが、位置を変換できる兵器については、飛翔間に発見され逃げられてしまう。

 その点、飛翔時間が短い弾道ミサイルでの攻撃であれば、逃げる時間がなく、目標に命中し破壊できる。

 一方、弾道ミサイルが発射されれば、ロシアの弾道ミサイルが1分後に発射の連絡を受けたとしても、残り4分で逃げなければならない。

 特に、それらが射撃姿勢の状態であれば、逃げることは不可能である。