5.ロシア領内のミサイル等を破壊するには
国境線等から300キロ以内のロシア領内のミサイルや無人機を破壊するには、ウクライナは射距離300キロの「ストーム・シャドウ」巡航ミサイル、「ATACMS」弾道ミサイルが絶対に必要である。
ウクライナ軍が弾道ミサイルを保有すれば、攻撃目標となるのは、ウクライナが長期間にわたり最もダメージを受けている目標である。
それは、地上から発射するイスカンデルM弾道ミサイルである。
ウクライナに「パトリオット」ミサイルが配備されていれば、ほぼ撃墜できる(射撃範囲は20~30キロであり限定されている)が、配備されていない地域では何もできず、目標に命中、破壊されることになる。
1日に50発以上のミサイル、さらに無人機を加えた飽和攻撃をされれば、撃ち漏らしが多くなる。
また、1日平均70機のシャヘド136自爆型無人機の攻撃も目標となる。
撃墜率や無効率は合計90%以上であるが、10%弱は撃ち漏らす。2022年8月以降、2年以上実施され続けているので、被害は膨れ上がっている。
図2 ロシア領内のミサイル、無人機をATACMS等で攻撃するイメージ
さらに、ロシア軍の部隊がウクライナ弾道ミサイルの射程の範囲内で1か所に集結している場合も攻撃目標となる。
この状態は、地上部隊にとって最大の弱点である。
ロシア軍部隊が訓練を受けるために集結、新たに部隊が投入されるために集結、あるいは部隊が今戦っているところから別の戦線に転用されるために集結しているところにウクライナ軍がミサイル等攻撃を行うと、多くの兵を瞬時に撃破することができるのである。
図3 ロシア領内の集結部隊をATACMS等で攻撃するイメージ