ウクライナ東部戦線ではロシア軍が進軍

 ウクライナ軍はロシア西部クルスク州に侵攻したものの、ウクライナ東部戦線でその代償を払わされている。ロシア軍はドネツク州のトレツク、ポクロフスク、ドネツク市南西で前進。この現状ではウクライナ軍が自国領土からロシア軍を完全に追い払うのは難しい。

 英シンクタンク、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のマーク・ガレオッティ上級研究員は英日曜紙サンデー・タイムズ(9月22日付)への寄稿で「米欧はこれまで避けてきた『勝利』とは何を意味するのかという問題に向き合わざるを得なくなっている」と指摘している。

 2022年11月に発表されたゼレンスキー氏の10項目和平案はプーチンを戦争犯罪法廷に引き渡すよう求めているため、クレムリンが受け入れる可能性はゼロだ。ウクライナへの西側支援を確保し、キーウに譲歩を迫るのを阻止するのが目的だったとガレオッティ氏は振り返る。

「ゼレンスキー氏はいかなる領土の割譲も拒否している。ウクライナへの西側支援は限定的で不確実。だからこそゼレンスキー氏は勝利計画を発表した。支援国にウクライナが応じたくない譲歩を迫らないよう説得し続ける必要があるからだ」(ガレオッティ氏)