9月4日、エルサレムで国際メディアの記者たちと会見したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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(舛添 要一:国際政治学者)

 ハマスとの戦闘が泥沼化しているイスラエルが、攻撃の矛先をヒズボラにも向けるようになった。

 イスラエル軍は、9月24日、レバノンの首都ベイルート近郊への空爆で、イスラム教シーア派組織、ヒズボラの司令官ら幹部3人を殺害した。さらに、各地にあるヒズボラの拠点への空爆も続行している。地上戦の可能性もあり、事態は緊迫している。

通信機器爆弾

 今回の戦闘の発端は、レバノン各地での通信機器の爆発事件である。9月17日、ヒズボラのメンバーらが使用しているポケベルなどの通信機器が一斉に爆発し、12人が死亡、約2800人が負傷した。

 携帯電話を使用するとイスラエルによって傍受されるので、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師が、2月に使用禁止を命じた。そこで、ポケベルなどに変えたのであるが、その小型の通信機器に爆発物が仕込まれていたのである。

 イスラエルがこの爆発装置をセットしたことはほぼ確実と見られている。イスラエルは、ヒズボラとの全面戦争のときに、この爆弾を使う予定だったが、その計画がヒズボラ側に漏れたために、急遽実行に移したという。