18日にも通信機器の爆発事件は続いた。これに対して、22日、報復のため、ヒズボラは、イスラエル北部ハイファ近郊の空軍基地を新型のロケット弾で攻撃した。イスラエルも対抗してヒズボラの軍事拠点約400カ所を空爆した。

 今回の戦闘は、前回の大規模戦闘が起こった2006年以来、最大のものだという。レバノンのアビアド保健相によると、死者数が558人に達したという。

 これまでは、ヒズボラもイスラエルも戦争を拡大しないために、国境地帯にのみ限定した紛争にとどめてきた。ところが、イスラエルは、ポケベル爆弾という無差別な全面攻撃を行ったのであり、これはレッドラインを越えたことを意味する。したがって、ヒズボラは、総力を挙げて報復しているのである。

ネタニヤフ首相の思惑

 ハマスに捕らえられた人質の解放を実現できないネタニヤフ首相に対して、国内の不満が高まっている。そしてヒズボラは一貫してハマスを支援してきた。つまりヒズボラを叩くことにはイスラエル国民の圧倒的な支持があるので、ネタニヤフは、ヒズボラを攻撃することで支持率を上げ、求心力を高めようと狙っている。

 効果はあった。今回の空爆で、ヒズボラの軍事力は20年前の水準に落ちたという。この軍事的成果もネタニヤフの功績として喧伝できる。