AIサイエンティストに搭載された4つの機能
同社はこの技術を、「アイデア創出、実験の実行と結果の要約、論文の執筆及びピアレビューといった科学研究のサイクルを自動的に遂行する新たなAIシステム」であると説明している。
今回の発表では、対応できる範囲が機械学習分野に絞られているものの、「最初の準備以外、一切人間の介入なしで、このシステムが機械学習研究の全ライフサイクルを自律的に実行できる」そうだ。
では具体的に、どのようなプロセスで機能するのだろうか。先ほどの解説にある通り、AIサイエンティストには大きく分けて4つの機能が実装されている。
まずは「アイデア創出(Idea Generation)」だ。これはその名の通り、科学的なアイデアを自動的に考え出すプロセスである。
ユーザーが一定のインプットと研究の方向性を入力すると、AIサイエンティストが大規模言語モデル(LLM)を活用して、新たな研究アイデアを生成・評価する。その際、AIサイエンティストはアイデアの面白さや実現可能性、新規性を評価し、自己反省を通じてアイデアを洗練してくれる。
真に画期的なアイデアを生み出す能力はまだ低いものの、既存の概念を洗練させる能力という点では、十分に高度化されているそうだ。
次は「実験の設計と実行(Experiment Iteration)」だ。ここでは、AIサイエンティストがAiderと名付けられたコーディングアシスタントを使用して、提案されたアイデアに基づいて実験コードを生成し実行する。
この機能に「反復(Iteration)」という単語が使われていることからも分かるように、十分な結果が得られるまで、AIサイエンティストが複数回のコード生成と実験を行う場合もある。また各実験を実行する際には、一連の観察結果を、従来の(人間による)実験記録と似た形式で、構造化して記録することができる。