今のアメリカの問題は物価高であり、トランプはバイデン政権の失敗のせいだと言う。住宅価格の高騰を抑えるために、ハリスは住宅購入への税制上の補助を与えるという。子育て家庭への税額控除も行う。また、食品価格について、価格をおさえるための規制を行う。まさに、ケインズ的な「大きな政府」の政策である。

自由貿易主義か保護主義か

 さらに、ハリスは、スタートアップ企業への税額控除を5000ドルから5万ドルに10倍にすること、チップへの非課税を実行することなども、政策に掲げている。

 このようにして、歳入については、子持ち世帯への税控除減で1.8兆ドル、子なし世帯への税控除などで0.4兆ドル、住宅購入補助で0.1兆ドルの減収が見込まれる一方、法人税の引き上げで1.1兆ドルの税収が増え、全体では財政赤字が1.2兆ドル増加すると見積もられている。

 対外経済政策については、トランプは、中国製品に60%、その他にも一律10%の関税を課すとしている。この税収を、財政赤字の穴埋めに使うという。この関税強化は、大統領権限で可能であり、議会の承認は必要ない。しかし、これは物価高、インフレを招くことになる。インフレになれば、FRBは金利を上昇させるので、また円安になってしまう。

 このようにトランプが保護主義的な政策を繰り出しているのに対して、ハリスは自由貿易堅持である。