デジタル関連収支が米国の次に多いのは?

 結論から言えば、具体的に数字を見ると、デジタル関連収支は米国が+1134億ドルとやはり頭抜けて大きい。だが、英国が+775億ドル、EUも+713億ドルとまとまった幅で黒字を記録している(図表①)。米国・英国・EUの3強の様相である。「どうせ勝ってるのは米国だけ」というイメージとは違うことが分かるだろう。

【図表①】

主要国のデジタル関連収支
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 なお、デジタル関連収支は通信・コンピューター・情報サービス、専門・経営コンサルティングサービス、知的財産権等使用料の3つを合計して算出されることが多い。

 このうち知的財産権等使用料に関しては、研究開発ライセンス等使用料や産業財産権等使用料を控除した著作権等使用料に焦点を当てることでデジタル色を浮き彫りにすべきだが、国ごとに統計の制約もあって控除できない国も多くあることが分析上の課題である。

 例えば、図中ではEUやドイツは知的財産権等使用料の内訳を知ることができない。

 日本の場合、知的財産権等使用料で見れば黒字だが、これは産業財産権等使用料の黒字と著作権等使用料の赤字を合計した結果である。

 デジタル関連収支の議論に限定した場合、動画・音楽・ソフトウェアの定額課金を含む後者の著作権等使用料に着目すべきであり、図表①においてはEUとドイツ以外はそのような調整を施している。