ツイッターのアカウントはトランプ最大の“政治資産”
「ニュースのほとんどはフェイクニュースだよ」
──では、フェイクニュースと事実とは、どこで線引きをするのですか。
「トランプからのツイッター(現・X)さ。大統領から直接、言葉が届くんだぜ。こんなことは今までなかった。トランプのツイッターの内容が、事実かどうかを判断する基準になる。なんせトランプは選挙で国民に選ばれて、大統領になったんだからな」
当時のトランプのツイッターアカウントには、約8800万人のフォロワーがいた。スマートフォンを操作するだけで、瞬時に自分の言いたいことが支持者に届く。トランプにとって、ツイッターのアカウントは最大の“政治資産”だった。
──トランプはこれまでもウソを繰り返してきました。
「それはだれが言っているんだい。『ワシントン・ポスト』紙だって? ヤツらがフェイクニュースなんだから、そんなものがあてになるわけがないだろう」
トランプのウソまで鵜吞みにする鉄板支持者は、有権者の3割前後を占めるといわれる。
トランプは、ウソをつくことでアメリカ社会に分断と混乱を引き起こし、鉄板支持者を固めてきた。
たとえば、新型コロナの失政については、トランプに責任はなく、州政府の責任だと言い張った。白人警官が、逮捕した黒人男性を公衆の面前で絞殺した事件が起こり、デモが全米に広がったとき、ホワイトハウス付近でデモ隊に催涙弾を打ち込んでねじ伏せようとした。
鉄板支持者は、そうしたトランプの強硬で偏狭なやり方に快哉を叫び、忠誠心を一層高めていく。