大統領在任4年間、トランプのウソは3万回超とワシントン・ポスト

 そうした判断を下すための材料である事実を報道するのが、マスコミの役割だ。よって、マスコミは事実を自らの都合がいいように歪曲しようとする権力を徹底的に監視する必要がある。

 もちろん、ウソをつく大統領は、トランプが初めてではない。

 ビル・クリントンは、ホワイトハウスの実習生だった女性との不倫関係を尋ねられ、「彼女と性的関係を持ったことはない」とウソをついたことで、弾劾裁判にかけられた。ジョージ・W・ブッシュ(子)は、「イラクが大量破壊兵器を持っている」と虚偽の事実を語り、アメリカをイラクとの長期間にわたる戦争に引きずり込んだ。

 だが、トランプのウソは次元が違う。「ワシントン・ポスト」紙が数えた、大統領在任の4年間にトランプがついたウソは、3万回を超えた。

 トランプのウソにはいくつかのパターンがある。一つは同じウソを何度も繰り返す。一番のお気に入りは、経済が最高だというウソ。2番目は、減税に関するウソ。3番目は、メキシコとの国境に作った壁に関するウソ。不正選挙に関するウソは4番目となる。

 もう一つは、任期の終盤になるにつれ、尻上がりにウソの回数が増えてくることだ。ウソをつくことで不利な選挙戦の形勢逆転を狙った。

 亡くなった元首相の安倍晋三が、公的行事の〈桜を見る会〉をめぐって選挙区の支持者を大量に参加させ、私的に利用した疑いで、首相在任中に国会質疑の中で行った虚偽答弁は100回以上に上る。政治家のウソは常に厳しく追及されるべきだが、しかし、トランプの3万回を超えるウソの前では、安倍晋三の悪質ささえもが子ども騙しのようにかすんで見える。