「憲法改正」結党以来の党是に結果を

 最後は、確固たる「国家観」を持っているということだ。

 首相は各大臣よりも一段階高みに立たなくてはならない存在で、そういう意味でまさに「首相」である。それがないと日本をどういう国にしたいかというビジョンを提示することができない。

 本来首相の指し示す国家観に基づくビジョンから個々のいろいろな政策が出てくるべきだが、一般的に今まではこの理念の部分が薄かったのではないか。

 自民党の総裁選挙だから候補者は基本的には保守のはずだが、保守思想とはどういうものなのか、戦後レジームをどう考えるのか、日本が戦後歩んできた道は正しかったのかなどを国民に語りかけてほしい。

自民党本部の外壁に掲げられた総裁選の横断幕=9月2日午後、東京・永田町(写真:共同通信社)自民党本部の外壁に掲げられた総裁選の横断幕=9月2日午後、東京・永田町(写真:共同通信社)
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 リーダーは導く組織に対して目標を明確に示し、その目標を達成する不退転の強い意志を持つ人物だ。目標を達成するためには右顧左眄しない「一千万と雖も吾往かん」という不退転の決意を持っていることが不可欠だ。

 特に安全保障に関しては、世論をあまりに気にしすぎて判断が狂うこともある。世論に迎合しすぎることなく、国益を踏まえた判断ができる首相が必要だ。そして最後は、その結果に対して責任を回避せずに責任を取るということだ。

 憲法改正もリーダーシップの問題だ。

 熟議は必要だが、政治は結論を出さなければ国民の負託に応えたことにはならない。自民党創設の理念は自主憲法制定だったわけで、これが一丁目一番地だ。しっかりと原点に立ち返ってもらいたい。

 さらにウクライナ戦争以来、核の問題が不安定化している。「核抑止」についてもタブーなしで議論できる国であればリーダーは適切な判断ができる。それが戦争を回避するための大きな力になると思う。