アフリカで感染拡大するエムポックスアフリカで感染拡大するエムポックス(コンゴ東部にあるエムポックス治療センター、写真:AP/アフロ)

篠原 拓也:ニッセイ基礎研究所主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト)

 昨年(2023年)5月の感染症法上5類移行以降、コロナウイルス感染症は通常の医療体制で対応されている。ただ、今年の夏も全国的な感染拡大の波は続いている。現在は、変異株「KP.3」による第11波を迎えているとされる。

 一方、デング熱、エムポックス、マイコプラズマ肺炎など、さまざまな感染症が流行する恐れも出てきているが、これらの感染症はなかなか終息しないと考えられている。今回は、感染症の現状や今後の見通しなどについてみていこう。

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コロナ感染拡大の波はまだしばらく続く

 2020年に国内初の感染者が確認されたコロナウイルス感染症は、昨年5月の5類感染症への移行を機に、少しずつかつての日常を取り戻す流れにある。

 ただ、罹患した一部の人が長期間にわたって後遺症に苦しむ状況も続いている。倦怠感、息苦しさ、集中力の低下、不眠、味覚や嗅覚の低下、頭痛などさまざまな症状がある。複数の症状が表れることや、時間経過とともに改善と悪化を繰り返すことがあるなど、症状の個人差もある。いまだに不明な点が多いが、症状が続く場合には、かかりつけ医等や地域の医療機関に相談すべきとされている。

 また、高齢者施設では多数のクラスターが発生しているケースもある。複数の患者が現れれば、中には重症化する人も出てくる可能性もある。周囲の医療機関との連携など、コロナ患者が発生した場合や重症化した場合の医療機関での受け入れ体制の確保が重要となる。

 現在、コロナのワクチンは任意接種となっている。12歳以上にはファイザー、モデルナ、第一三共のワクチンが接種可能とされている。また、6カ月以上~4歳の乳幼児や、5~11歳の小児も、モデルナのワクチンが接種可能となっている(武田薬品や、乳幼児、小児用のファイザーのワクチンも承認済みだが、供給終了や流通ロットなしのため、2024年8月1日現在利用できない)。

 これまでに接種したワクチンなどの免疫が変異ウイルスに対してあまり効果を持たない場合、感染が拡大するとの予測もある。

 いずれにしても、コロナウイルス感染症の感染拡大の波はまだしばらく続きそうだ。