写真はイメージです(出所:Pixabay)

 若手社員はなぜ会社を辞めるのか? 入社して数年で、あるいは30代前後で転職を経験した人たちを、元新聞記者のライター、韓光勲氏と小山美砂氏がリレー執筆の形で紹介する連載「若手が会社を辞めるとき」。「若手社員が辞める理由」と「辞めた若手社員はどこへ行ったのか」を明らかにしていく。(JBpress)

(韓光勲:ライター、社会学研究者)

 今回は、過労とハラスメントによるメンタル不調に陥った真理さん(29歳女性、仮名)の転職経験を紹介したい。

 真理さんは奈良県出身で、関西の国立大学を2018年に卒業。就活には当初苦戦したが、「良い製品を作っている企業に行きたい」という軸を定め、メーカー系に応募した。内定が出たのは、九州に本社を置く大手メーカーだった。

 2018年4月に入社後、人事部に配属された。初めて親元を離れての一人暮らしだった。真理さんは慣れない土地以上に、その会社の「男尊女卑」文化、上司からの露骨なセクハラに面食らうことになる。

セクハラを先輩に相談したら

「かわいかった。大好き。チュ」

 入社から3カ月。総務部の10年目の男性から送られてきたメッセージの文面だ。その日は同期の女性、その男性との飲み会があり、酔ったその男性は真理さんの太ももを触り続けた。