囲碁の勉強方法は主に「対局」「棋譜研究」「詰碁」の3つがある。特に「詰碁」(「石の生き死に」に関する問題)は読みの訓練には欠かせないものだ。将棋界でも「詰め将棋」があるが、詰将棋は「王手」のみを繰り返す。途中、王手でない手を挟むことはなく、王様を取ることを目指す一方、詰碁も石を取ることを目的としているが、王手のような分かりやすい道しるべはなく、真っさらな状態で手を見つけていく。豪快に相手の石を召し捕ることから「ハンマーパンチ」というニックネームをつけられている上野愛咲美新人王は、詰碁が自分の実力の源であるという。上野が実践する驚きの“詰碁ライフ”とは?(JBpress編集部)
(*)本稿は『読みが鋭くなる 上野愛咲美の詰碁』(上野愛咲美、内藤由起子著/池田書店)の一部を抜粋・再編集したものです。
「世の中にある詰碁は全部解いてみたい」
私は祖父のすすめで4歳のときに囲碁を始め、5歳から「新宿こども囲碁教室」に通い出しました。初めから碁が好きだとは思いませんでしたが、スキップしながら通っていたそうなので意外と楽しく通っていたようです。
子どものころは家ではまったく囲碁をやらなかったので、親がなんとか楽しく学べるようにとパソコンでやる詰碁のソフトを用意してくれました。
高段者向けの問題が1000問以上あるもので、正解するとピンポンと音がするのがうれしくてやっていましたね。まあ、子どもなのですぐ飽きるのですが、好きだったのでずっとやっていました。
教室では師匠が詰碁を出題してくれました。大盤に並べて、できたら大盤の裏で師匠と答え合わせをします。プロを目指す同年代の5人くらいでやっていたのですが、私の都合のいい記憶によると、だいたい一番早く解くことができました。そのうれしい気持ちが膨らむにつれ、詰碁にはまっていった感じです。
詰碁はなんといっても解けたときの喜び、感動、爽快感があります。ときめきがあり、他では味わえない感覚です。いい筋の問題を解いたときは、「あーいい筋だった」としみじみ感動します。
世の中にある詰碁は全部解いてみたいので、新しい詰碁を見ると「やった!!」と思います。詰碁好きの棋士ともよく「あの詰碁よかったよね」とか感想を話し合ったりしています。1日の多くの時間を詰碁に費やしています。