変動から固定に借り換えると返済額はどのくらい増えるのか

 現実的に、すぐにも3%台の金利になることは考えにくいが、0.5%、1.0%程度の上昇は十分に考えられるので、元金の減り方が遅くなってしまう。毎月返済額は変わらなくても、元金がなかなか減らないため、変動型の超低金利メリットが損なわれる。

 どの段階で決断するのかは考え方にもよるだろうが、場合によっては変動型から固定型に切り換えて、それ以上に元金の減り方が遅くならないようにするのがいいのではないだろうか。

 変動型から固定型に借り換えると、適用金利が上昇し、返済額が増えるケースが多くなるだろうが、それは安心のためにはある程度仕方のないことと考えるしかない。実際、【図表3】にあるように、全期間固定金利型に借り換えた人では借り換えによって返済額が増えたという人が24.5%に達している。


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 では、変動型から固定型に借り換えると、返済額がどれくらい増えるのか。借入額5000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしで、1年後に借り換えを実行した場合にどうなるのかを試算したのが【図表4】だ。


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 0.375%の変動型だと毎月返済額は12万7049円だが、固定金利期間選択型の10年固定に借り換えると14万1190円に増え、増額率は11.1%。全期間固定金利型の「フラット35」だと16万1261円になり、26.9%の増額になる。

 けっこうな負担増だが、それでも固定金利期間選択型の10年固定の場合、借り換えると毎月返済額は14万1190円に増えるものの、利息分は4万0424円で、元金分が10万0765円になって、月々10万円以上元金が減ることになる。

 それに対して、変動金利型のままで金利が0.4%上がると元金分は先の【図表2】にあるように9万円台に減るので、借り換えたほうが元金の減り方が速くなることが分かる。多少返済額が増えても、元金減少ピッチが早くなる固定型のほうが安心という考え方もあるのではないだろうか。

 そのあたりをどう考えるのかは、それぞれの価値観次第だろうが、変動型を利用していて、金利が本格的に上がり始めたら、固定型へ借り換えてもいい。

 また、全額固定金利型に借り換えると負担増が大きくなるので、固定型と変動型をミックスしたプランを利用する方法もある。これなら、負担増をある程度抑制しながら、一定の安心感を得ることができるので、今後の選択肢としては注目しておいていいかもしれない。