金利上昇で未払い利息が溜まれば、元金が増える恐ろしい事態に

 変動型の住宅ローンは、金利動向によって半年に1回適用金利を見直すことになっている。ただし、あまり頻繁に返済額が変わると計画を立てにくいので、返済額の見直しは5年ごととされ、5年間は返済額が変わらない。5年後に金利上昇で返済額が増えるときには、増額率を25%までとする決まりもある。

 返済額が変わらない5年の間に金利が変わったときには、返済額に占める利息分と元金分を調整することになる。金利が上昇した場合には、利息分が増え、そのぶん元金分が減少し、元金の減り方が遅くなる。反対に、金利が下がったときには、利息分が減って、元金分が増え、元金の減り方が速くなる仕組みだ。

 たとえば、借入額5000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしの住宅ローンだと、【図表2】にあるように、当初5年間の返済額は12万7049円になる。

 12回目の返済額の内訳は利息分が1万5241円、元金分は11万1808円で、12回目終了後のローン残高は4866万0604円だ。


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 13回目の適用金利が0.375%で変わらない場合には、利息分の計算はこうなる。

【4866万0604円(ローン残高)×0.00375(0.375%)÷12(カ月)≒1万5206円】

 12回目に比べて利息分が少し減って、そのぶん元金分が増え、ローン残高は4854万8761円に減少する。

 それが、金利が0.575%に上がると、利息分の計算はこうなる。

【4866万0604円(ローン残高)×0.00575(0.575%)÷12(カ月)≒2万3317円】

 利息分が2万円台に増えて、元金分は10万円台に減少、そのぶんローン残高の減り方が遅くなる。

 さらに、金利が1.375%まで上がると、利息分が5万円台に増えて、元金分は7万円台に減り、2.375%だと利息分が10万円近くになり、元金分は3万円ほどに減少。元金がほとんど減らない状態になる。

 最悪の場合が、3.175%になったときだ。

【4866万0604円(ローン残高)×0.03175(3.175%)÷12(カ月)≒12万8748円】

 利息分だけで毎月返済額の12万7049円を上回り、1699円不足してしまう。これが「未払い利息」といわれるもので、毎月約定通りに返済しても、この未払い利息が残り、元金が減るどころか、未払い利息が溜まって、実質的に元金が増えてしまうという恐ろしい事態になる。