職場での昼寝は「サボり」とは限らない(写真:Prathankarnpap/Shutterstock.com)

漠然と「睡眠時間は長いほうが健康に良い」と思っている人も多いのではないだろうか。しかし近年、ただ長く眠れば良いのではなく、睡眠の質が健康や寿命に大きな影響を及ぼすことが分かってきた。日本の睡眠時間の短さがニュースになることも多いが、問題解消に「昼寝」をうまく活用することを提唱する専門医がいる。

(東野 望:フリーライター)

睡眠時間は長すぎても短すぎてもいけない

 多忙な日本人の睡眠時間は、この半世紀で少しずつ短くなってしまっている。しかし、ただ単に長時間眠ればいいのかというとそうでもないようだ。

 睡眠専門医院・スリープクリニック調布院長で米スタンフォード大客員教授も務める遠藤拓郎氏は、近著の『最強の昼寝法「スーパーパワーナップ」~日本人の睡眠処方箋~』(扶桑社)で意外な事実を明らかにしている。

睡眠に関しては認めたくない3つの事実があります。
それは、「睡眠時間が長いと早く死ぬ」、「退職をすると睡眠薬が増える」、「ゆとり教育で不登校が増える」です。

 40~79歳の男女約11万人を対象に、2004年に結果が発表された調査によると、「7時間睡眠」が最も死亡率が低いことが明らかになっている。それより短くても、逆に長くても死亡率は上昇するとの結果だった。

 さらに、睡眠が「4時間未満」という極端に短いグループと「10時間以上」という極端に長いグループを比較すると、「10時間以上」のグループの方が、「4時間未満」に比べて死亡リスクが高かったことがわかった。

 睡眠時間は人生のステージによって違いがある。