深睡眠 睡眠の質深睡眠は重要だが、それだけが重要なわけではない(写真:mapo/イメージマート)

 良い睡眠を持つことが、健康の面でも、仕事や勉強といったパフォーマンスの面でも極めて重要だと言われ、睡眠に対する世の中の関心は近年高まっている。しかし、眠るということはどういうことなのか。正しい眠り方はあるのか。『眠っている間に体の中で何が起こっているのか』(草思社)を上梓した早稲田大学睡眠研究所所長で、精神科医の西多昌規氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──「ほぼすべての精神障害には、不眠あるいは過眠、日中の強い眠気など、睡眠の問題が伴います」と書かれています。なぜ睡眠はこれほど精神の問題と関係しているのでしょうか。

西多昌規氏(以下、西多):メンタルの問題というものは、食欲や性欲、睡眠などに影響を及ぼします。うつ病も食欲不振が多いのですが、過食が見られることもあります。睡眠も同じように眠れなくなったり、逆に通常よりも多く眠るようになったりします。

 ストレスによって、本能的な部分に異常が生じるのだと思います。睡眠や食欲は生命を司る脳の中枢・視床下部が管理しています。生きるうえで危険を感じる時に、そのサインとして食欲や睡眠に影響が出るのだと思われます。

──「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」について詳しく説明されています。その中でもノンレム睡眠はさらに複数の段階に分かれていると説明されていますが、睡眠のステージが変わることで、体内で起こることも変わるのでしょうか。

西多:変わります。まず、睡眠というものは最初から最後まで同じような状態が続くわけではなく、最初に浅い睡眠状態があり、これを「ノンレム睡眠」と言いますが、このノンレム睡眠が大きく2つの段階に分けられます。その後、ギアが入るように、特殊な睡眠である「レム睡眠」に移行します。

 眠っている間に、こうした睡眠ステージの移動を繰り返しますが、それぞれの睡眠のステージにおいて、脳や体の中では、様々に異なる現象が発生します。今回の本では、睡眠のステージの変化に応じて、体の各所でどのような変化が起きているのかも説明しています。

──「深いノンレム睡眠が一番休息の効果が大きい」だから「深い部分が一番大切」という考え方は必ずしも正しくないようですね。