パワーナップのすすめ
これまで見てきたように、睡眠については世代ごとに課題がある。それぞれに適した指導を行うことが健康的な睡眠のために重要となる。さらにもうひとつ、同書で推奨されているのが「パワーナップ」と呼ばれる仮眠方法、つまり昼寝だ。
パワーナップ(power-nap)とは、一般的に15~30分程度の短い仮眠のことで、コーネル大学の社会心理学者ジェームス・マース先生が、1998年に著書『Power Sleep』に紹介しています。私は、このパワーナップこそが、短眠国家である日本を救う方法であると思っています。
広島大学で行われた実験では、「昼12時から20分間の昼寝をした人」は、しなかった人に比べて計算能力が上がり、眠気も減る結果となった。この「20分間の昼寝」を取り入れることで、その後のパフォーマンスを上げようというのがパワーナップだ。
重要なのは睡眠を20分程度にとどめること。それ以上寝てしまうと眠りが深くなりすぎて、目覚めが悪くなったり、夜の睡眠を邪魔したりしてしまう。
最強の昼寝「スーパーパワーナップ」とは
さらに遠藤氏は、パワーナップに加圧トレーニングを組み合わせて進化させた「スーパーパワーナップ」も提唱している。
加圧トレーニングとは、専用のベルトを巻いて血流を制限しながら行うトレーニング方法のことだ。加圧トレーニングをすると、通常時の2倍から数十倍の成長ホルモンが分泌されるという。この成長ホルモンが分泌されている間に昼寝をとることで、パワーナップの効果がアップする。
加圧トレーニングは専門家の指導が必要なトレーニングではあるため、いつでも誰でも、というわけにはいかない。だが、そうした環境が用意できない場合でも、自重による筋トレ(ダンベルやマシンを使わないトレーニング)でも成長ホルモン自体は分泌される。
高校生までであれば、成長ホルモンによって身長が伸びるだけでなく、集中力向上で塾や自宅での学習効率アップにつながるという。成人でも健康・美容・筋力アップなどの面で効果が期待できるそうだ。
昼寝によって眠気と疲労感をリセットだけでなく、まさに一石二鳥を狙えると遠藤氏は説明している。