日本の「海底ケーブル」が危険にさらされている。
昨年夏、2018年に沖縄近海の光ファイバー海底ケーブルから中国製の盗聴装置が発見されていたことが在沖縄米軍向け英字誌の指摘で明らかにされ、防衛・通信関係者に衝撃を与えた。だがこのときクローズアップされた海底ケーブルの脆弱性について、その後の日本の対策は十分とは言えない状況が続いている。もし「台湾有事」となれば、海底ケーブルの“脆さ”は日米台、ひいては背後に北朝鮮を抱える韓国などにも致命傷となりかねない。日本の大手民間電気通信事業者OBもこう警鐘を鳴らす。「民間任せではもう限界。重要インフラとして国を挙げて防護、管理を進め、近隣国・地域とも協力する必要がある」――。
“むき出し”の超重要インフラ
「米軍基地の電話線ルートなども含め全容を把握している」
那覇市内で筆者のインタビューに応じた大手民間電気通信事業者OBはこう切り出した。
彼が一例として挙げたのが沖縄本島勝連半島先端に位置する海上自衛隊沖縄海洋観測所(沖縄県うるま市勝連平敷屋)から伸びているケーブルの存在だ。
「この基地は対潜水艦の観測基地。目の前のホワイトビーチには海底ケーブルが2本ある。1本は米軍嘉手納基地を起点とするもので、グアム経由でハワイにつながっている通信用、もう1本は太平洋に張り巡らされた、対潜水艦用の聴診器、つまり“音波ソナー”だろう。極めて重要なケーブルなのだが、沖縄近海の海水は透明度が高いため、その存在が肉眼やGoogleマップでも視認できるのが実情だ」