実際にホワイトビーチに足を運んでみると…
この指摘を確認するため筆者は実際に現場を訪れてみた。
すると、実際に同ビーチへの立ち入りは自由で、基地の監視カメラは筆者の動きを追って作動しているものの、ケーブルの位置は陸上からも確認でき、近づくことも容易だった。
有事の際、切断、破壊工作などの対象となることを考慮すれば文字通り「無防備」というほかない。
海上自衛隊沖縄海洋観測所(右)隣接ビーチでの陸揚げが確認できる海底ケーブルのライン。コンクリートで保護されている=2024年7月2日、沖縄県うるま市勝連平敷屋(筆者撮影)拡大画像表示
上記写真と同じ場所を写した別カット。陸揚げ部分がコンクリートで保護され、舗装道路のように見える海底ケーブルのラインが、白波の沖までまっすぐ伸びていることが陸上からも確認できる(筆者撮影)拡大画像表示
海上自衛隊沖縄海洋観測所隣接ビーチでの陸揚げが確認できる海底ケーブルのライン。前掲の写真とは異なるもう一本のケーブルだ=2024年7月2日、沖縄県うるま市勝連平敷屋(筆者撮影)拡大画像表示
台湾、トンガ…ケーブル切断の影響甚大
海底ケーブルの破壊・断裂は国防面だけでなく市民生活の面にも大きな被害をもたらす。
台湾では2023年2月上旬、中国・福建省福州市に近い離島・馬祖列島で、台湾本島を結ぶ通信用の海底ケーブル2本が相次いで切断され、島民の生活に支障が生じる事態となった。偶然の事故か意図的な切断かは不明ながら、直前に航行した中国漁船と貨物船が関与したとみられており、台湾当局は「台湾有事」を念頭に、台湾本島などでも同様の事態が発生することも想定し、バックアップ用の衛星通信強化などの対策を急務としている。
国際ケーブル保護委員会(ICPC)では、切断や破損は、船舶の錨や漁船の地引網、地震などを原因として世界各地で年間150件、日本周辺でも年間約10件程度起きているとしている。南太平洋・トンガ諸島では2022年1月に発生した海底火山の大規模噴火で、発生後数日間、同島の通信が途絶し孤立したことは記憶に新しい。
