「堕ちた通貨」と化した日本円

 例えば、ブラジルレアルと円の立ち位置を例に取ると、ブラジルレアルの2022~24年の累積変化率は▲1.0%ポイントと20通貨において上位3位に入る。

G20通貨の対ドル変化率とその合計(2024年6月28日時点)
拡大画像表示

 ちなみに、1位はメキシコペソの+9.8%ポイント、2位はスイスフランの+0.7%ポイントだ。基本的に「ドルに勝てる」もしくは「ドルと互角」という通貨はこの3年間では極めて稀少な存在だったと言える。

 繰り返しになるが、2024年初来の動きに関し、ブラジルレアルやスイスフランの下落をスナップショットで評価するのはフェアではない。

 片や、円は▲35.5%ポイントとG20通貨で下から3番目だ。最下位はアルゼンチンペソの▲441.5%ポイント、次にトルコリラの▲109.5%ポイントが続いている。

 年初来の動きだけを捉えてアルゼンチンペソやトルコリラと円を同グループのように語るのは性急であり、この2通貨の弱さは別格である。もっとも、円の弱さはこの2通貨以外の通貨と比較した場合は別格とも言える。

 こうした変化率だけを見た場合、G20通貨の中にあって、円はアルゼンチンペソやトルコリラほど弱くはないが、それ以外の通貨と比べるとかなり弱いという立ち位置にある。「G7通貨の一角」と考えれば、「堕ちた通貨」というレッテルを貼られても致し方ない。