地震で浮き彫りになる地域対立と韓国人の本音

「余り大きな被害が出ないことを心から、願います。被害が出たらいろいろな意味でこの国がうるさくなるから」
「心配は心配だけど、あ、あっち方面だ、って思っちゃった」

 そんな声がちらほらと見られた。あっちというのは、ソウル近郊から見た南西方向のあっちである。

ソウル市民が「あっち方面」と称する全羅道。地震が起きた全羅道地方は左翼系の勢力が異常に強く、政治家はほぼすべて左翼政党から選出される(地図:共同通信社)
ソウル市民が「あっち方面」と称する全羅道。地震が起きた全羅道地方は左翼系の勢力が異常に強く、政治家はほぼすべて左翼政党から選出される(地図:共同通信社)

 もともと韓国は、右派VS左派の政治的対立が根強く、それがそのまま地域別対立につながっている。対立というよりは、ソウル近郊に住む右派が全羅道の住民を卑下しているようにしか、筆者の目には見えないのだが。

 彼らが考えていることは、こうだ。もし全羅道で地震が起こったら、2014年のセウォル号の事故や2022年のソウル梨泰院雑踏事故の様に、遺族や左翼系の政治活動家たちが執拗に政府の責任を追及し、それによって自分たちが面倒なことに巻き込まれるのではないかということだ。

 確かに全羅道地方というところは、左翼系の勢力が異常に強く、政治家はほぼすべて左翼政党から選出される。セウォル号事件から10年経った今も、筆者の住む市には、セウォル号被害者のために焼香台を置いたテントが張ってある。

 そこは梨泰院で事故が起こった後には、その事故被害者のための焼香所になり、小学校教師が保護者のパワハラを苦にして自殺した去年には、教師たちがデモをする場所となった。

 そして、もともとその場所は、いわゆる「従軍慰安婦」をモデルにして作られた少女の像が置かれている場所である。

 左翼的な活動家というのは、皆どこかでつながっているのだろうな、これらの活動資金はどこから来るのかなと、現場を見るたびに思う。