韓国人旅行者の玄関となっている関西国際空港(日刊工業新聞/共同通信イメージズ 「日刊工業新聞」)韓国人旅行者の玄関となっている関西国際空港(写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ 「日刊工業新聞」)
  • 日本を訪れる韓国人が増える中、日韓のパスポートなし往来を求める声が浮上している。
  • 日韓議員連盟の幹事長を務める武田良太衆議院議も、韓国メディアのインタビューで前向きな反応を見せている。
  • もっとも、今でこそ韓国人は「ノージャパン」を忘れているが、数年前は反日の嵐が吹き荒れていた。韓国側の都合に振り回されるべきではないと思うがどうか。

(立花 志音:在韓ライター)

 韓国・仁川空港からLCC(ローコストキャリア)の飛行機を利用する場合には、搭乗ゲートの番号が100番を超えることが多い。そこはちょっと僻地とも言える場所で、出国手続き後はシャトルに乗ってかなり外郭に行かなければならない。

 日本行きの飛行機が多く発着するのは、そんな僻地の一番端。行き先は東京だけでなく、北海道から沖縄まで全国各地の地名が案内板に表示されている。

 日本人の筆者には少し不思議な光景で、人気漫画「ドラえもん」のどこでもドアのようにも見えてしまう。

 長引く円安の影響もあってか、コロナとノージャパンを都合よく忘れた韓国人たちは、相変わらず日本に詰めかけているらしい。仁川空港の日本行きのチェックインカウンターと、韓国人が最初に行く日本の玄関であろう関西国際空港の出国レーンが長蛇の列でイライラするという話は、もうデフォルト状態になっている。

 韓国人のせいだけではないだろうが、日本は既にオーバーツーリズム状態のようだ。観光地では住民の生活に支障をきたしているという話も聞こえてくるし、日本のホテルや旅館でのサービスの低下が著しいという話も聞く。

 インバウンドに依存して、誰彼構わず観光客を受け入れるのもいかがかなものかと思う。 20年前から日本を行き来している韓国人の友人はこう話す。

「昔は日本に行くのは記念日などの特別な日だった。でも、最近は物価も逆転したし、気軽に行ける場所になったから、特別な日には違う国に行くようになった」

 時代の移り変わりとグローバル化もあると思うが、 日本の外から日本を見ている筆者には、我が祖国が買いたたかれ、荒らされて、価値が下がり続けているように見えて、悲しくなる。

 4月の終わりに、韓国のニュースで変な話をしているのをちらっと見かけた。「韓国の外交部(日本の外務省に当たる)当局が韓国と日本の出入国手続きを簡素化する必要があると明らかにした」という話だ。

「ヨーロッパでは各国がパスポートなしで自由に行き来ができますよね。だから日本と韓国も、国内旅行のように両国間を行き来しましょうという話ですね」と、しれっとアナウンサーが話し始めたのだ。