- 韓国社会で自国の「伝統」が急速に衰退している。特に若い世代の多くは「端午の節句」も知らず「韓服」も着なくなったという。
- 韓国では日本統治下に伝統を一度失ったとの認識が根強く、伝統を再興しようという動きには常に反日感情と結びつく危うさがある。
- 若いMZ世代の間では日本ブームが起きているが、伝統を維持・強化しようという動きをきっかけに、そうした若者の間でも反日感情が呼び起こされてしまうリスクがある。(JBpress)
(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
韓国社会が、自国の「伝統」が廃れていることに危機感を抱いている。歴史認識問題を掲げて日本や中国と衝突を繰り返しているにもかかわらず、その土台ともいえる自らの伝統は、スポンジのように穴だらけらしい。
去る6月13日、ネットメディアのニューシス(NEWSIS)が、伝統を忘れる韓国の実情を報じた。KOREAWAVEが日本語に訳している*1。
*1:韓国若者「端午?知らない」、韓服を楽しむのは外国人観光客だけ…求められる「伝統」の現代化(KOREAWAVE)
それによると、韓国の多くの若者が「端午」を知らず、伝統衣装の「韓服」を着なくなったらしい。
「端午」とは、6月10日の端午節のこと。もともとは中国の戦国時代の政治家である屈原の命日に由来する。それが旧暦の5月5日で、のちに中華文化圏全体に広まり、日本では新暦の5月5日が端午の節句とされている。
韓国にも端午を祝う習慣がある。東海岸に広がる江原道の江陵(カンヌン)で開かれる端午祭は世界遺産に指定されている。それにもかかわらず、江陵端午祭についてソウルに住んでいてもほとんど耳にしない。気が付くと端午節が過ぎているという状況だ。