(筆者撮影)

 3月1日は韓国にとって特別な日だ。1919年の3月1日、日本の植民地支配への抵抗宣言が韓国全域で同時多発的に発せられた。そこで韓国では3月1日を、独立運動を記念する「三一節」とし国民の祝日としている。毎年この日には政府主管の記念行事が開かれ、外勢に対する先祖の抵抗精神を称え、国家の未来に対する政権のビジョンを提示する。

 ところが、大統領が弾劾で職務停止中の今年の3月1日は様相が違っていた。ソウルをはじめ韓国全国で弾劾をめぐって賛成と反対の両陣営が総結集した大規模集会が行われたのだ。

弾劾賛成派を人数で圧倒した反対派集会

 この日、各地で両陣営が開いた集会を俯瞰すれば、弾劾反対集会の方が圧倒的に参加者が多かったようだ。国会があるソウル・汝矣島(ヨイド)で開かれた弾劾反対集会には警察の推計によれば約5万5000人が参加し、2.65kmの汝矣大路は太極旗(韓国国旗)と星条旗の波で埋め尽くされた。

(筆者撮影)

 最近アメリカで開かれたCPAC(保守政治行動会議)に参加して大統領弾劾の不当性を知らせるなど、積極的な弾劾反対運動を繰り広げている保守キリスト教団体「セーブコリア」が主催する汝矣島弾劾反対集会は20代と30代の若年層の呼応が高い集会で、韓国メディアも注目している。そのセーブコリアは、2月1日の釜山(プサン)集会を皮切りに、毎週土曜日に大邱(テグ)、光州(クァンジュ)、大田(テジョン)を回り、3月1日は午後1時から韓国政治の中心地・汝矣島で大規模集会を行った。

(筆者撮影)

 午後1時を少し過ぎた時刻、ヨイナル駅は集会参加のために全国から駆けつけた若者たちの熱気でいっぱいだった。

 集会場所へ向かう改札口の前には、しわくちゃになった太極旗を広げて弾劾反対を叫ぶ20代の青年がいた。釜山から高速バスで上京した彼は「6時間近く太極旗をリュックサックに入れておいたせいでしわくちゃになってしまった」としながらも、「尹大統領が今日全国から集まった太極旗を見て元気を出してほしい」と明らかにした。

(筆者撮影)