この日の集会は1時に始まり、5時40分頃に集会を終えた後、一部の参加者が国会に向かって行進し、人波で国会を囲み「弾劾無効!」「国会解散!」「李在明(イ・ジェミョン)拘束!」などのスローガンを叫んだ後、7時頃に全て終了した。
同日は汝矣島だけでなく、光化門(クァンファムン)や大学路(テハクロ)、江南(カンナム)駅などのソウルの街や、釜山、大邱などの地方でも弾劾反対集会が開かれたが、警察の集計では全国で開かれた弾劾反対集会の参加者総員は約12~14万人程度だという。
「国民の力」からは羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)元代表と金起ヒョン(キム・ギヒョン)元代表をはじめ、国会議員75人がソウルで開かれた弾劾反対集会に参加した。
韓国の憲法裁の審理は「政治審判」
一方、「共に民主党」では李在明代表をはじめ国会議員130人余りが弾劾賛成集会に参加したが、こちらは警察推計で参加者2万人ほどにとどまり、約7対1の規模で弾劾反対派が賛成派を圧倒した。
ただ、弾劾反対運動がこれほど熱気を帯びた裏には、切迫した事情がある。憲法裁の裁判官8人のうち、進歩(革新)性向の4人の裁判官は弾劾賛成に回ることが既成事実化している。彼らはウリ法研究会など進歩系判事たちによる私的勉強会の出身だからだ。
大統領の罷免には6票以上の賛成が必要なため、中道あるいは保守に分類される残りの4人の裁判官のうち少なくとも3人以上が棄却に票を投じなければ尹大統領は罷免されてしまう。保守層にとって崖っぷちの状況なのだ。
これに対して、弾劾に賛成する進歩層はすでに4票を“確保”しているため余裕がある。世論調査で弾劾賛成の割合が6対4の割合で高いことも彼らを勇気づけている。大統領と国会などが自陣の憲法裁判官を任命し、その裁判官たちによって単審制で進められる憲法裁の審判はいわば「政治審判」であり、厳格な法理に従うというより、世論に左右される。実際、弾劾賛成世論が圧倒的だった2017年、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾審判の時は、保守派に分類された裁判官が8人中5人もいたにもかかわらず、8対0で罷免が決定された経緯がある。
現時点では、尹大統領が罷免されるか、あるいは弾劾が棄却されるか断定することはできない。ただ、「国民統合」を強調した崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行の3・1節のメッセージにもかかわらず、記念式が終わるやいなや与野党の政治家が集会に参加して相手を攻撃するスローガンで集会参加者を扇動する姿は、分断された韓国の危機を象徴する姿として世界の人の目に焼き付けられたことだろう。