有権者はバイデンの「認知度」に注目

 もっともメディア、有権者が細心の注意を払ったのは、「史上最高齢大統領候補」の両氏が2期目に耐え得る体力と頭脳の明晰さを示せるかどうかを見極めることだった。

 特に、高齢への不安が最大の弱みとされるバイデン氏は、言葉に詰まるなどの失態をさらせば修復不能な打撃となりかねない(幸いにしてそうしたアクシデントは起きなかった)。

 一方、トランプ氏は、事実誤認に基づく暴言や態度を抑制し、大統領の資質や品格を備えていることを「MAGA」(熱狂的トランプ支持者)以外の有権者に印象付けられるかが試された。

 筆者がテレビ画面を通じて得た印象は、バイデン氏については、さすがに81歳の高齢は隠し切れず、声は弱々しく、額にくっきりと浮かぶ横じわが目立った。

 一緒にテレビを見ていた米国人のジャーナリストはこう呟いた。

「もし、ギャビン・ニューサム(56=カリフォルニア州知事)だったらトランプを完全に打ちのめしただろうに」

 一方の質問とは無関係な我田引水を続けるトランプ氏には、「頭脳の回転はまだ鈍っていないが、大統領としての見識や素質には問題あり」といった印象を受けた。

 未確認情報だが、民主党周辺には、バイデン氏の弱々しいパフォーマンスを懸念して、万一に備えてバラク・オバマ元大統領を副大統領に指名すべきだ、という声も出始めている。

大統領経験者が大統領選に出ることはできないが、大統領が辞任した場合、副大統領は大統領に昇格できる)