国連安保理の制裁決議に違反
ロ朝の新たな条約は、地域の安全保障に影響を与えることは必至です。日米韓の政府高官は、ロ朝の軍事協力が国連安保理決議に違反し北東アジアと欧州の安定を脅かすとして、強く非難する共同声明を出しました。
国連安保理の北朝鮮制裁決議は国連の加盟国に対し、あらゆる兵器や軍事技術を北朝鮮に供給・移転したり、逆に北朝鮮から調達したりすることを禁じています。相互の軍事協力をうたったロ朝新条約は、個別的・集団的自衛権を根拠にしているとはいえ、この制裁決議に違反することは明白です。
ロシアは国連安保理の常任理事国でありながら、自らも参画してきた北朝鮮への制裁を無力化する方向へかじを切りました。ロシアはすでに北朝鮮への制裁実施を監視する国連機関の活動延長を拒否権によって阻止するなど、北朝鮮寄りの動きを見せています。
今後、仮に北朝鮮が核実験を実施しても、ロシアは拒否権を行使して国連安保理のさらなる制裁決議を阻止することも考えられます。ロシアの後ろ盾を得た北朝鮮は、核・ミサイル開発を加速させる可能性があり、朝鮮半島の非核化や核兵器不拡散への歩みは後退が予想されます。
日米韓の3カ国は、首脳会談の定例化を決め、軍事的な共同訓練を重ねるなど安全保障面での連携を強化しています。また、日韓両国はNATO首脳会議にも出席するようになっており、ロシア・北朝鮮ともに警戒を強めています。結局、東アジアと欧州の両方面で緊張が高まる懸念が拭えないのです。