スポットワーカーが増えている=イメージ(写真:Hakase_420/Shutterstock)

空き時間に数時間だけ働く「スポットワーク」という働き方が広がっています。スマホアプリで仕事を探せ、選考もほとんどなくすぐに働ける点が特徴です。若者や副業を求める会社員に人気で、人手不足に悩む企業側の需要もとらえて成長してきました。スタートアップのタイミーが市場を開拓してきましたが、足元ではフリマアプリのメルカリが参入し、LINEヤフーも事業を強化するなど、IT大手をまじえた競争が始まっています。スポットワークについて、ギグワークとの違いを含めやさしく解説します。(JBpress)

 スポットワークとは短時間、単発で働く働き方で、「スキマバイト」とも呼ばれます。多くの場合、スマホアプリ上で働き手と企業のマッチングが成立し、履歴書の提出や選考もありません。

 2018年にスタートアップのタイミーがスポットワークの仲介サービスを始めると、働き方の柔軟性の高さから若者や副業を求める会社員などに広まり、新型コロナ禍明けの人手不足も追い風となり市場が拡大しました。

 スポットワークの仲介企業で構成するスポットワーク協会によると、24年5月末時点でのスポットワーク登録者数は約2200万人で、23年3月末時点(約990万人)に比べて2.2倍となりました。

(出所:メルカリ発表資料より)
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 企業側の需要も強くあります。労働市場の調査などを手掛けるツナグ働き方研究所によると、24年3月の新規求人数は8万3015件でした。前年同月に比べて17.8%増加しており、23年6月から10カ月連続で前月を上回っています。

 求人の内訳をみると、コンビニスタッフが53.3%と最も多く、倉庫内・軽作業が22.4%、運送・ドライバーが10.2%と続きます。人手不足が深刻な業界からの引き合いが多いことが分かります。

 需給のひっ迫で時給も上昇しています。ツナグ働き方研究所によると、24年3月の首都圏・関西圏・東海圏のスポットワークの平均時給は1161円でした。23年同月(1154円)に比べて0.6%、22年同月に比べて4%増加しています。

 リクルートの『アルバイト・パート募集時平均時給調査』がまとめた通常のアルバイト時給と比べると、3月までの2カ月は通常のアルバイト時給の方がスポットワーク時給よりも高いものの、それまでは4カ月連続でスポットワーク時給が上回りました。