東京都議会定例会で答弁する小池百合子知事=6月4日午後(写真:共同通信社)東京都議会定例会で答弁する小池百合子知事=6月4日午後(写真:共同通信社)
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 東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に向け、現職・小池百合子氏がきょう12日に立候補を正式表明する。自民党が支援を表明している。立憲民主党と共産党がバックアップする蓮舫参院議員との、事実上の「与野党対決」となる構図だ。ともに知名度の高い女性政治家で、「似た者同士」とも指摘される両氏。だが、法政大学大学院の白鳥浩教授は「似て非なる」と評する。投票行動を左右する小池氏、蓮舫氏の“違い”はどこに? 白鳥氏が解説する。(JBpress)

(白鳥浩:法政大学大学院 教授)

「似ている」と評される小池氏と蓮舫氏

 2024年の都知事選は、6月20日告示、7月7日投開票という「七夕(たなばた)決戦」という日程で展開される。この都知事選には、すでに蓮舫氏が5月27日の出馬会見で述べたように、単に一つの自治体の知事を選ぶという意味付けだけではなく、きたる政権交代を巡っての衆院選の「前哨戦」、与野党対決の「代理戦争」という意義が付与された。

 この「七夕決戦」となった都知事選には、過去最多であった2020年の22人の候補者を上回る可能性が出てきている。すでに30人以上が出馬の意向を表明しており、立候補に必要な書類は事前審査の始まる6月5日までに57陣営が受け取っている。

 その中でも注目されるのは、5月27日に「反自民党政治、非小池都政」を標榜し、「小池都政をリセット」するとして出馬会見を行った蓮舫氏であろう。

 蓮舫氏は、2016年9月から1年ほど、当時野党第一党であった民進党の代表を務めるなど、タレントであったこともあり、抜群の知名度を持つ、経験豊かな政治家である。

 現職の小池百合子知事は立候補の正式表明を控え、その発言に注目が集まっている。

 これほどまでに注目が高まっているのには、様々な要因が挙げられる。第一に、小池氏と蓮舫氏という非常に知名度のある候補者が出馬すると考えられていること。

 第二に、出馬した候補は、選挙の公平性の観点から小池氏や蓮舫氏と同様に全国へと自らの名前が報じられ、知名度の上昇が期待できることから、今後どの選挙に立候補するにしても有利となる可能性があること。

 第三に、特に国政を目指す候補者にとっては、衆院解散総選挙が短いタイムスパンの中で行われるということが予想されており、直前の都知事選で全国に知名度を上げておけば、国政でも地方でも、どの選挙に出ても一定の「選挙インターバル」の効果が期待できること。

 第四に、そもそも都知事選で当選することは初めからできないとしても、4月に投開票の行われた東京15区の衆院補選でつばさの党の候補者が行ったように、ネットに「動画配信」を行って再生回数を稼ぐことにより、経済的な利益を得られる可能性があること。

 こうした多様な候補者が出馬することによって、都知事選挙への関心がさらに高まることは望ましいことであるが、現状では、圧倒的な知名度を誇る小池氏と蓮舫氏を中心として選挙戦が展開されることが予想されている。

 そこで以下においては、「候補者として似ている」ともいわれる小池氏と蓮舫氏のそれぞれの候補者としての属性を検討しよう。

白鳥 浩(しらとり・ひろし)
1968年生まれ。法政大学大学院教授、博士(政治学)。英国オックスフォード大学客員フェロー、ドイツ連邦共和国マンハイム大学客員教授、静岡大学助教授などを経て、現職。専攻は現代政治分析。特に現代日本政治の分析については、高い評価を得ている。また各種メディアにおける硬派なコメントでは、的確な解説が定評を得ている。日本政治法律学会理事長。