7月7日の投開票日(6月20日告示)まで1カ月を切った東京都知事選挙。メディアは小池百合子知事と蓮舫参院議員の女性対決をあおり立てているが、肝心の小池知事はいまだ出馬表明せず。今回の都知事選は、蓮舫議員のほかに石丸伸二安芸高田市長やタレントの清水国明、田母神俊雄元航空幕僚長ら30人を超す候補者が立候補するとみられ、過去最多を更新しそうだ。これから東京を舞台に大掛かりな選挙戦が展開されるが、ジャーナリストの山田稔氏が本当の意味で「争点」にすべきポイントを検証した。
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最大のテーマは「反自民」ではなく「東京一極集中」だ
「自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする先頭に立つ」──。6月27日の立候補表明で蓮舫参院議員が「反自民・非小池都政」の姿勢を表明した。多くのメディアがさっそくこのフレーズに飛びついた。
しかし、それは第一義的なテーマではないはず。東京都知事選は国政の代理選挙ではない。首都東京のあり方、東京都民の暮らしの課題に真正面から取り組み、最善のビジョン、解決策を政策で追い求め有権者に提示することにあるはずだ。
1400万人が暮らす首都に立ちはだかる最大の課題は、何といっても「東京一極集中」の問題だろう。国の地方創生政策とリンクするテーマだが、東京都としてなさねばならないことも多々ある。決して国だけの政策ではないのである。
東京一極集中がもたらしている弊害、今後危惧されるリスクをチェックすれば、おのずと都が取り組むべきテーマが見えてくる。東京都の人口は1417万275人。もはやニュースにもならないが過去最多である。日本の人口1億2393万人の11.4%が集中している(いずれも5月1日時点の数字)。
その結果、何が起きているのか。都民の生活に密着したテーマでいえば、地価高騰に伴う住宅価格の異常なまでの急騰だ。
不動産経済研究所のデータによると、2023年度(2023年4月~2024年3月)の東京23区の新築マンションの平均価格は1億464万円まで高騰した。埼玉県4890万円、千葉県5067万円の2倍以上である。もはや普通のサラリーマン世帯には手が届かない存在だ。その結果、新築のタワーマンションを購入しているのは、投資目的の国内外の富裕層や2人の年収が1500万円以上のパワーカップルなどと言われている。
中古物件も高騰しているから、年収1000万円以下の子育て世代は、千葉や埼玉といった近県に住み家を求めるしかなくなっているのが現状だ。
東京のマンション価格高騰の背景には、資材価格や人件費アップに加えて、円安や株高による投資マネーの流入が大きいとみられている。東京の超高級マンションは、海外富裕層による日本の不動産買いあさりの象徴といっていい。
ここに何らかの対策を打つことはできないだろうか。東京都独自の条例で外国人による購入枠を規制することぐらいはできそうなものだ。「国がやらないから東京が…」は、ディーゼル排出ガス規制や子育て支援金など歴代都知事の十八番ではなかったか。