6月7日、フランス・ノルマンディーにあるポワンデュホックの記念碑のそばで民主主義について演説したバイデン大統領(写真:AP/アフロ)
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(国際ジャーナリスト・木村正人)

「民主主義は私たち一人ひとりから始まる」

[ロンドン発]「史上最大の作戦」と呼ばれるノルマンディー上陸作戦(Dデイ)から80年――。ジョー・バイデン米大統領は6月7日、仏・ポワンデュホックに立ち「今日、欧州でウラジーミル・プーチン露大統領の侵略に立ち向かう米国を望まない人がいるだろうか」と問いかけた。

 ノルマンディー上陸作戦で米陸軍レンジャーは高さ30メートルものポワンデュホックの断崖を30分でよじ登り、オマハビーチとユタビーチに上陸する米軍を狙うドイツ軍の砲台を攻め落とした。作戦に参加したレンジャー225人のうち作戦終了時に戦闘可能だったのは75人以下だ。

ノルマンディー上陸作戦に参加した英海軍軽巡洋艦HMSベルファスト(退役、テムズ川で筆者撮影)
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 バイデン氏は「民主主義、米国の民主主義を語る時、私たちはしばしば生命、自由、幸福の追求という理想を語る。私たちが語らないのはそれがいかに難しいかということだ。本能が立ち去ることを促しても、米国の民主主義は最も困難なことを私たちに要求する」と力を込めた。

「民主主義は私たち一人ひとりから始まる。一人の人間が自分よりも重要なものがあることに気付いた時、民主主義は始まる。任務が自分の命よりも大切だと決断した時、自分の国を自分よりも大切にすると決断した時、レンジャーたちはヒトラーの侵略に立ち向かった」