「人口ボーナス」を無駄にする可能性

 女性労働力の未活用も深刻な問題だ。

 インドでは女性の生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)の3分の1しか働いていない(2022年度)。この数字は低中所得国の平均値である約50%や中国の約70%を大きく下回っている。

 世界銀行も同様な見解だ。

 4月上旬に発表した報告書で「インドなど南アジア諸国における雇用創出が生産年齢人口の増加に追いついていないため、『人口ボーナス(全人口に占める生産年齢人口の比率が上昇することで経済成長が促される現象)』を無駄にする恐れがある」と危惧している。

 昨年の人口が中国を抜いたことでインド経済に対する注目度が飛躍的に高まっているが、インドは豊富な若年労働力を経済成長の「武器」にすることができていない。

 だが、BJPが掲げた総選挙のマニフェスト(政権公約)には、雇用増につながる具体的な経済政策は示されていなかった。