- あなたの仕事がうまく回らないのは、職場に巣食う「害虫」のせいである――。全体最適のマネジメント理論TOC(Theory of Constraints=制約理論)の第一人者、岸良裕司氏(ゴールドラット・ジャパンCEO)が、会社を停滞させる構造的な問題を害虫に見立て、その特徴と対処の仕方を、実例を基に伝授する。
- 第18回は、減点主義がはびこる組織で大量発生する「シッパイコワイ虫」。優秀な人材でもチャレンジする意欲が削がれ、やがて会社の成長力を蝕む恐ろしい害虫だ。
- 実は、人はそもそも失敗を楽しめる生き物である。それには、失敗から学ぶことが大切だ。失敗が怖くなくなる特効薬とは?(JBpress)
(岸良裕司:ゴールドラット・ジャパンCEO)
名称:シッパイコワイ虫
職場へのダメージ:★★★☆☆
主な生息地:失敗を怖がりチャレンジを避ける人に寄生している。特に減点主義の評価をしている職場に大量発生することが知られている。
特徴:人の成長を阻害する「ゲンテンシュギ」という毒物を人に刺す害虫。「シッパイコワイ虫」に刺されると、人は減点主義を恐れるあまり、自己防衛本能が暴走し、新しいチャレンジを避けるようになる。その結果、人の成長を止めてしまう。社内で大量発生すると、会社全体の成長を止めてしまうことになりかねないので早期治療が重要である。
自己防衛本能を暴走させる毒物「ゲンテンシュギ」
「こんなに優秀な人なのに、なぜ失敗を怖がってチャレンジしないんだろう……」
このような疑問が浮かぶ人がいたら、その人には「シッパイコワイ虫」が寄生しているかもしれない。シッパイコワイ虫は、自己防衛本能を暴走させる「ゲンテンシュギ」という毒素を人に注入する。人は新しいチャレンジを避けるようになり、成長を止めてしまう恐ろしい寄生虫だ。
「失敗を恐れるな! チャレンジしろ!」
こんな号令を出しても、ゲンテンシュギの毒素に侵された人の目が覚めることはない。特に「成果主義」という美名のもとで、現実には「減点主義」がはびこっている職場をシッパイコワイ虫は好み、増殖する。
社内でシッパイコワイ虫が大量発生すると人の成長を妨げるだけでなく、会社そのものも保守的になり、成長の可能性が閉ざされ、組織が崩壊しじり貧となってしまうので最大の注意が必要だ。