写真はイメージです(出所:PIxabay)

 若手社員はなぜ会社を辞めるのか? 入社して数年で、あるいは30代前後で転職を経験した人たちを、ライターの韓光勲氏と小山美砂氏がリレー連載の形で紹介。「若手社員が辞める理由」と「辞めた若手社員はどこへ行ったのか」を明らかにしていく。(JBpress)

(韓光勲:ライター)

「行き当たりばったり」で就職

 総務省のデータ(2023年12月)によると、昨年の転職者は325万人、「転職等希望者数」は1007万人である。転職希望を持っている人全員が実際に転職するわけではない。転職に踏み切る人とそうでない人の違いは何なのだろうか。

 今回話を聞いたのは、31歳の男性Tさんである。筆者の高校時代からの友人だ。転職をすでに2回経験しており、現在はコンサルティング系大手で働いているTさんに自身の経験を語ってもらった。

 Tさんは2017年に京都大学文学部を卒業後、新卒で通信業界大手に就職し、4年間働いた。第一志望というわけではなく、就職活動はある意味で「行き当たりばったり」だった。

 就職活動は大学3年生の1月に開始。当初はゲーム業界と出版社を目指していたが、大手に落とされたので方針を変更し、「安定している大企業」を狙うことにした。応募した会社は、三井不動産、楽天、ソフトバンク、集英社、日清、チケットぴあ・・・。就活サイトの「オススメ」から優良企業を選び、約15社にエントリーしたという。

「就活の軸なんてなかった。ネームバリュー重視」と率直に語るTさんだが、持ち前の文章力と、京都大卒というスペックの高さで書類選考は難なく通過し、面接にはほとんど進んだ。内定をもらったのはIT系大手と通信業界大手。働く場所を重視し、通信会社を選んだ。