分割できるのは株価上昇の証

 株価が上昇した結果、株式分割をせざるを得なかった事例もある。

 半導体の前工程でウエハーを洗浄する「超純水」製造装置の野村マイクロ・サイエンスは2024年3月31日を基準日に1株を4分割した。同社は韓国サムスン電子を主要顧客に持ち、業績が急拡大。株価は分割前の1年間で最大5倍にまで上昇した。

 分割前のピーク時には最低購入金額は200万円超だったが、分割によって一時期は50万円未満に収まった。ただ、4月以降も株価は上昇し続け、現在は最低購入価格が50万円を超えて、再度の分割も検討せざるを得ないという「うれしい悲鳴」を上げる。

 株式分割を行う企業にとっては、事務負担やコスト増が予想される。企業は、株主名簿管理や、配当金の計算・支払いを信託銀行に依頼している。個人株主が増えれば、こうした事務の委託料増が見込まれる。議決権行使書や総会招集通知の配送料も増える。