NTT株の25分割で話題に

 株式分割の動きが活発になったのは、2022年10月に東京証券取引所が出した要請文「投資単位の引下げに係るご検討のお願い」だ。当時は、岸田首相の「資産所得倍増プラン」が喧伝され、社会全般に株式投資への熱が高まっていたころだ。

 東証は、個人投資家が参加しやすい最低購入金額を「5万円以上50万円未満」としている。要請文を出した当時、東証上場企業の約95%が最低購入金額50万円未満だったが、100万円以上の「値がさ株」もあった。

「値がさ株」とは最低購入金額が高い株のことで、50万円超というのが一般的だ。要請文が出た当時、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの最低購入金額は800万円超、半導体の代表銘柄である装置製造の東京エレクトロンは400万円近くあった。

 東証は、要請文で「投資単位が高い水準にある上場会社の皆様におかれましては、投資単位の引下げに向けて、株式分割の実施をご検討くださいますようお願い申し上げます」と記載。要請文発出と前後して、任天堂やファーストリテイリング、東京エレクトロンが相次いで株式分割を発表した。

 大手企業における株式分割の決定打となったのは、2023年5月にNTTが発表した25分割だ。発表当時の最低購入金額は約40万円。25分割すれば1万円台で購入できると話題になった。2023年は、三菱商事やデンソーなども相次いで株式分割を発表した。