新NISA「成長投資枠」にマッチ

 相次ぐ株式分割は、2024年1月にスタートした新NISA(少額投資非課税制度)と深く関係する。新NISAは総額1800万円の運用益を非課税にできる。内訳は、長期の積立・分散投資に適している投資信託(政府認定商品に限定)が対象の「つみたて投資枠」と、株式、REIT、投信、など対象商品が広い「成長投資枠」(1200万円まで)に分かれる。個別銘柄に投資する場合は、成長投資枠を利用できる。

図:金融庁HPより
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 株式の配当受け取りや譲渡益には通常、約20%の税金がかかるが、新NISAの成長投資枠により非課税になるのは資産形成上意味が大きい。

 しかし、最低購入金額が50万円、100万円超という銘柄は、個人投資家には高嶺の花だ。株式分割は、個人の資産所得を増やしたい政府、個人投資家と、株主のすそ野を広げたい企業の思惑が一致する手段なのだ。

 実際に、4月に株式分割を発表したソフトバンクは「今後、若年層を含む新たに投資を始める方に、初めて投資する株式として当社株式を選択していただき、かつその長期保有を促すことによって、投資家層のより一層の拡大を目指します」とコメントしている。既に株式分割を実施したある企業では、個人株主が増え、市場流動性が高まったという。